“M-1はじめました。”の感想

M-1はじめました。

\崖っぷちから始まった起死回生の漫才復興プロジェクト/
M-1グランプリをつくった元吉本社員がその裏側をすべて語る!

今世紀のお笑いブームの陰には、
忘れ去られていた漫才を立て直そうと奮闘した
1人の吉本社員の泥臭いドラマがあった――。

毎日会社に行くのがつまらなかったぼくは、
「ミスター吉本」の異名を取る常務からあるプロジェクトを言い渡された――
その名も「漫才プロジェクト」。

M-1につながる一歩がここから始まった。

Impressions and evaluation

今やクリスマスの風物詩の一つとなったM-1グランプリ。M-1グランプリは、2023年時点で19回を迎え、日本一の若手漫才師を決める大会として確立した地位に登り詰めた.その創設者である谷良一氏の史実に基づき、M-1グランプリの成り立ちや舞台裏を知ることができる.本書が出版されたタイミングが遅いと感じる部分もあるものの、個人的にはこのタイミングでなければ読むことはなかった。M-1が盛り上がりを見せる時期に店頭に本を並べたのは正解である

お笑いが好きであるが、いわゆる賞レースと呼ばれるものはM-1の2020年と2023年のみ.また、今となっては、お笑い賞レースとは以下などに数は増えていく一方だ

 M-1グランプリ・キングオブコント/R-1グランプリ/THE W/THE SECOND ~漫才トーナメント~

これらの賞レースの創設は、M-1の成功なしには語れない.その初陣を切った話として、かなり面白く読めた

全6章の構成であり、

 ・第1章から第3章は参加する漫才師の募集 ★★★★★
 ・第4章以降は審査員の募集から予選の話 ★★★☆☆

の話となっている.第3章までは、著者ならではの苦労話、雲をつかむような話が展開され、これこそが本邦初公開といえる誰もが知らなかった内容であり面白すぎた.そのため、第3章までは★5つと評価した.一方、第4章以降は、審査員の募集や予選の話に移り、開催が現実味をおびることからやや想像しやすい内容が増えているため、★3つの評価とした

この本を読み終えた後、現在のお笑いブームの影響力を再確認した.お笑い芸人はこぞってYouTubeチャンネルを開設し、人気となっているチャンネルが増えている.また、テレビ番組でも司会やコメンテーターとしてお笑い芸人が活躍している場面を良く見かけ、お笑いが特別なエンターテイメントを超えて日常生活に溶け込んでいる

本書は、一つの時代やイベントを作り上げた過程を包み隠さず如実に描くことで読者を引き込んでいる.筆者が社会人であり、上層部から“低迷してるからお笑いを盛り上げて欲しい”と無茶で中身のない要求を受けたことに端を発したことは、多くの社会人であれば共感するだろう.この要求から、グランプリの開催まで運びきったのは筆者の実行力があってこそだろう.第一回が盛大な成功の後、スポンサーに関する苦労や東京と大阪の違いなどが現れていて面白かった

読みやすく、難しい表現や自慢する表現もほぼない、成り立ちを俯瞰的に描いているため、苦労話よりもプロジェクトの進行過程にフォーカスしている.話に抑揚があるか?と言われればそうでもないのだが、とにかくページを捲りたくなる魔力がある。ただ、この本も若者、特にはお笑いにまだ熱を見いだせていない人を意識できていない驕りが見られる.漫才は文字であり、キャラクターである.それらが存分に盛り込まれていて、その熱を体現できているかは謎である

筆者も述べているが、できれば参加資格を結成10年以内に戻してほしい.最近の優勝者や上位陣は結成10年以上のコンビが増え、内容よりも技術や立ち回りで評価されているように感じている

Impressive reviews from other watchers

Positive

ただ漫才、お笑いが好きな27歳男です。

でも、お恥ずかしながらこの本を読むまでM-1についてあまり知っておりませんでした。毎年M-1は食いつくようにリアルタイムで予選から追いかけ、情熱を注ぐ芸人さんたちの熱いお笑いへの魂に心打たれています。そんな気持ちを一番最初に形にして作り上げようとした谷良一という男のお話。最後の2001年の様子はAmazonプライムでも同時並行的に観ながら、ひとりで泣きそうになりました。

そうはいっても最終的にM-1はドラマであってはならず、ただひたすらに面白くて観客を笑わせるものでもあってほしいなとも一般人ながらに思います。12月24日(日)にまたお会いしましょう。

https://booklog.jp/users/omopu/archives/1/4492047557

Negative

なし

Don`t copy text!