“ブルーピリオド”(マンガ)の感想

ブルーピリオド(1)

夜な夜な友人と渋谷の街に繰り出すヤンキーにして、昼は成績優秀の高校生。矢口八虎はそんな毎日に空虚さを覚えていた。美術部の部室で出会った一枚の絵は、八虎に描くことのワクワクをもたらす。常に感じていた渋谷の「青」が表現出来た時、初めて覚える生きてる実感。「藝大一択?」八虎の眼前に進路は大きく開かれた

カテゴリ内容
ジャンル美術
作者山口つばさ
出版社講談社
掲載誌月刊アフタヌーン
発表期間2017年6月24日(2017年8月号) –
巻数既刊15巻(2023年11月22日現在)
https://ja.wikipedia.org/wiki/ブルーピリオド

感想と評価

大学2年生の時、偶然美術に触れてからその道を志し、東京藝術大学に現役で合格した経緯が興味深い.専門は最難関とされる油彩で、画の構図や見方よりも、主人公の葛藤が物語の核となっています.特に、高校時代に美術に没頭し始め、一般的でない進路を選び、予備校や美術部で才能豊かな人々に囲まれながらも、大学の授業での表現の難しさに直面する様子が印象的です.これらの経験が、環境の変化や人間関係の変動、題材の選択による複雑な感情を生み出していることが伝わります.

この作品は、何と言っても魅力的です.日常を平凡に過ごしていた主人公が、絵画という全く異なる分野に情熱を注ぎ、芸術への猪突猛進な姿勢が素晴らしい.自分の専門分野外であっても、好きなことを追求する難しさがリアルに描かれています.

物語は、マンガでありながら、ある種の画集のような印象を与えます.各コマの描写力、構図、物語の進行は目を引き、読者を引き込みます.しかし、話が後期(大学入学後)に進むにつれて、面白みが薄れる傾向にありました.主人公は少し成功しすぎるように見え、予測可能な展開になっている点が気になります.また、登場人物や主人公との関係に変化が少ないことも指摘されるべきです.序盤の面白さは、多様な価値観を持つ人々の登場によるものでした.

最後に、絵画自体にもう少し焦点を当てても良かったかもしれません.作品は主に主人公の心理面に焦点を当てていますが、絵の出来栄えや表現方法、対象の選択が重要であることをもっと強調しても良いでしょう.結局、マンガに登場するキャラクターが描く作品のレベルがやや物足りなく、賞を受賞するにはもっと印象的な作品が必要だったと感じました.

1巻から15巻(2023年11月発売)の評価の推移は以下.14巻の夏休み編でわたしは心折れました.

Impressive reviews from other watchers

Positive

絵画にも青春があるってこと

ネタバレはなしで書きたいと思います。
自分の話をただ垂れ流しているだけです。
参考にはなりません。あと、1巻しか読んでないです。

これは「絵を描く」ことに魅せられた1人の男の子の話です。
学生の部活を通じて青春を描かれることはよくある。
スポーツだけじゃなくて吹奏楽、軽音などの文化部もそこから自分の将来についてや仲間との葛藤が描かれたり、そういうものはもう出尽くしたと思ってましたが美術部。
この世界の複雑さは垣間見たことがない人には全くわからないと思う。

自分も学生時代美術部だった。
小学生の時は絵を描くと表彰されたり、褒められたりする機会が結構あって。
運動とかからっきしだった自分にとって絵を描くこと、そしてそこから褒められることは一つの誇りだった。
親はそれを喜んで夏休みには絵を描かせてコンクールに出品した。
それは決して親の自己満足ではなく、
子供の才能を見つけることができてそれを伸ばしてあげたい!という純粋な気持ちだったと思う。

絵を描くことは好きだった。
褒められるのも嬉しかった。
けれど描いていると「そうじゃない」「もっとよく見て描きなさい」と怒られることも多かった。
将来の夢に「絵を描く仕事をしたい」と書きながらぼんやりと、それはないだろうなって気持ちがあったと思う。

ある時、図工の時間に描いた絵を先生に注意された。色ぬりの仕方が先生的に気に入らなかったらしい。
私は水彩絵の具をまるで油絵みたいに塗ってしまうところがあって色がどぎつくなりがちだった。
それを先生が水道のところに持って行ってスポンジで洗い流した。
画用紙の表面の紙をこそげとることでやり直しをさせた訳です。その後先生に言われた通り塗り直しをした絵はなんかのコンクールで入賞したけど、心の中にもやっとしたものが残った。

それからは所謂アニメ絵というか漫画絵を描くほうが好きになった。
好き勝手描いても誰も怒らないし、友達に「上手」って言ってもらえた。

それでも中学高校に入るとほかに入れる部活もなくて美術部に入った。
本格的にやらなくても良いところがある上で本格的に指導が出来る先生がいる環境だったので真剣にやりたい人もそうじゃない人も共存してた。
私は描く時は好きだったけど、習う、絵の技術を学ぶという気持ちはなかった。

中学高校になるともうコンクール入賞なんて華々しいことはなくなる。
私は結局技術を身につけることはなく、ただ感じるままに描いたのが小さい時はたまたま同世代の中で少しだけ目立っただけにすぎなかったのかな、と今は思う。
自分くらいの絵を描ける人なんてザラにいる。
そしてもっと圧倒的に上手い人、才能がある人が沢山周りにいることが分かる。
その人達が明確に技術を身につける中で私は何も得ることなく、何も考えずにただ描きたいものを描いているだけだった。

絵はバランスが良いとか、見たままをそのまま表現出来ているとか、なんとなく上手いとか技術を身につけられているかどうかは分かるけど、
はっきりとこれが一番上手とか明確な線引きができない。
実際技術はあるけど心惹かれない絵ってある。
そしてアンバランスさがあるのに惹かれる絵もある。

そして絵を描いている本人達はそこに明確な実力差を感じる。
自分が大した人間じゃないことを思い知らされる。

絵の世界ってそういう世界だったなって思い出した。
今、私は手慰み程度にも絵を描くことがなくなった。
イラストレベルも描いてない。
昔絵なんて描いてなかったのに、今は同人活動して漫画を描いているって人の方がずっと上手で技術があるだろう。
本格的に学んでいたらどうだったろう?と考えることもあったけどこの本を読んできっと私はこの世界では生き残れなかっただろうなって改めて実感した。

芸術の世界は複雑だ。
そしてそれは触れたことがある人にしかわからない。

この本はその世界を垣間見れることが見れる本で、その世界は誇張でもなんでもない。実際ある世界だ。

https://www.amazon.co.jp/gp/customer-reviews/RE2VBTBO2S2RL

Negative (わたしの理由に近い)

2020年漫画大賞1位!芸大受験編までは傑作ですが…

2020年漫画大賞1位の傑作です!
これほど美術創作を真剣に描いた漫画はありませんので素晴らしい!!

でも登場人物がアイコンのようで感情移入出来ないかもしれません。
冒頭のサッカーを応援する展開。
「俺の感動じゃない」と言う描写は福本先生の『最強伝説黒沢』の冒頭の展開そのもので全く同じです。

黒沢さんは貧乏で切ないです。
でもこの作品の主人公は恵まれてます。
天才でない人物が努力により目標を達成する物語としては、主人公が恵まれ過ぎていてもう一歩感情移入出来ません。

ただ美術や絵の創作に関しての説明は奥深く、実在の絵も登場するので絵画好きや、絵画入門としてもお薦めです。

絵画を創作する情熱は素晴らしい!!

個人的には鮎川くんのファンなので大学編以降は残念でした。男の娘の鮎川くんがほとんど登場しなくなるので淋しいです…

高校生編の大学受験までは紛れもなく傑作だと思います!!

この作品は女性BL作家さんの作品だからか思春期特有の男子のリビドーがないのが良くも悪くも特徴ですね。

ブルーピリオドとはビカソの青の時代のシンボルですよね。
どのように完結させるのか気になります。

大学受験編で一区切りなので絵画に興味ある方は是非読んで頂きたいです!

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