項目 | 内容 |
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出版社 | 朝日新聞出版; 新装版 |
発売日 | 2008/9/5 |
言語 | 日本語 |
文庫 | 315ページ |
Impressions and evaluation
本書は、モンゴル旅行へ行くに当たり、モンゴルの知識がなさすぎたので読んでみました.現地に持って行くガイドブック『地球の歩き方 モンゴル 2024~2025』に記載されている“モンゴル百科と旅の技術”を参照してもよいのですが、どうせなら文豪が感じた実際に感じたモンゴルに触れてみたくなったのです.なお、彼の作品は初めて読みます.
文学作品にはほとんど触れてこなかった人生ですが、彼の文体は非常に読みやすいです.わかるようでわかりづらい表現ながらも、モンゴルについての歴史や文化などの説明が随所に散りばめられており、理解することができました。歴史や文化の内容は話の流れの中で自然に登場するため、なぜそうなったか?今に何がどう残っているか?がわかりやすく書いてありました.まるで、彼がモンゴルを探索し、学んでいく様子を追体験するように.
彼の旅程は、新潟1泊→ハバロフスク1泊→イルクーツク1泊(モンゴル領事館でVISA取得)→ウランバートル→南ゴビというものでした.ウランバートルが着くまでに全体300ページのうち100ページを費やしていたので、現地に着くまでの困難や想定外の事案が一つの主題であると感じます.ただし、モンゴルを知るために読むとなれば、ハバロフスクの章は少し冗長に感じるかもしれません。モンゴル領事館以降の内容から読み始めるのも一つの方法です。
それでも、もう少しモンゴルについて詳しく深堀りしてほしかったものです.特に、南ゴビについてはもっと文章として読みたかったです.彼の文章能力が強く発揮されたのは、間違いなく南ゴビの章です.ゲル、砂漠、夜空、これらについての表現は舌を巻きました.
だからこそ、ゴビやウランバートルの景色についてもっと触れてほしかったなと思います.もう少し彼の表現を読みたかったものです.
登場人物は、そのときどきで著者をサポートするように一時的に登場する人も多い.その誰もが不思議な特徴を持っているように感じたが、特にはツェベックマ氏かもしれない.ツェベックマ氏は、通訳として機能した文化人.ときには著者をおちょくるように話をして、展開を盛り上げていた.著者の書き方から、思い出の強い一要素であったことが読み取れる.
司馬遼太郎にまつわる包“Tsevegmaa Tourist Camp”は、Ulaanbaatarから北東の方、Tereljにある.これは、街道をゆく「モンゴル紀行」の続編というべき“草原の記”に関連しているため、本書で登場しておらず関係がないものとなっている(Campはツェベクマさんの娘が運営).ツェベクマさん(~2004年)、司馬遼󠄁太郎(~1996年)の関係を知りたければこちらも要チェックであろう.
Impressive reviews from other watchers
Positive
【名作】モンゴルの大自然を、ツェッベクマさんという魅惑的な女性を通して、描く1冊でした
ご存じ、司馬遼太郎氏の「街道をゆく」シリーズのモンゴル紀行です
タイトルには「モンゴル紀行」とありますが、当時は、モンゴルに行くのに、旧ソ連を経由していくしかなく、1/3が旧ソ連、2/3がモンゴルという感じでしょうか
とはいえ、モンゴルが主体なのには違いありませんさて、モンゴルと言えば、大阪外大のモンゴル語学科(現:大阪大学に統合)を出られておられる氏だけに、モンゴルへの敬愛も強いのでしょう
「街道をゆく」には、氏の博識を披露したもの、詩的なものと大きく分かれますが、本巻などは、完全に後者だと思いますそれに輪をかけているのが、当シリーズにしばしば登場する魅力的な現地の人
本巻では、ツェッベクマさんという、モンゴルの大自然(民族的にも、土地的にも)魅惑的な女性が登場し、それに輪をかけ、詩的な1巻に仕上がっていますさて、今のモンゴルも、司馬氏が訪れたような魅力を保っているのでしょうか
https://www.amazon.co.jp/gp/customer-reviews/R2TCMBRQVDCZ47/ref=cm_cr_dp_d_rvw_ttl?ie=UTF8&ASIN=4022644443
他の巻同様、本書を持って、モンゴルを訪れたくなる魅惑的な1冊でした
Negative
なし