“サステナブル・キャピタリズム 資本主義の「先」を見る”の感想

サステナブル・キャピタリズム 資本主義の「先」を見る

ガーナの「電子機器の墓場」を、公害ゼロの街へと再生する挑戦。ホスト、起業家、路上アーティスト、ガーナに出合ってトップアーティストに… 波瀾万丈な人生を送りながらたどり着いた、サスティナブル・キャピタリズム論

新しい資本主義が胎動する瞬間を見逃すな!
ガーナの電子ゴミを10億円に変える 話題の美術家 長坂真護氏。

現地に私設の学校、美術館、リサイクル工場を設立。
枠にとらわれず活躍の場を広げる長坂氏の目に映る「資本主義の先」とは―。
SDGsの“次の取り組み”に未来へのヒントがある!

項目内容
Price1,870 yen (tax included)
Publication Date2022年09月20日 (September 20, 2022)
Author長坂真護 (Masago Nagasaka)
Page Count272 pages
Size四六判 (Shiroku-ban)
https://bookplus.nikkei.com/atcl/catalog/22/09/05/00352/

感想と評価

この書籍は、ガーナの「アグボグブロシー」という地域が直面している電子廃棄物の問題に焦点を当てています.著者は、この問題を通じて、私たちの消費行動と地球環境の持続可能性について深く考察しています.彼の理論は、環境問題への新たな視点を提供すると同時に、読者に行動を促す力を持っています.

この本を読んで、私たちが日常的に使用し、そして捨てる電子機器が最終的にどのような運命をたどるのかを知ることができました.

著者は、サステナブル・キャピタリズムや相対性理論を通じて、文化、経済、社会貢献の相互作用を示しています.特に、電子廃棄物をアート作品に転換することで、環境問題への認識を高めると同時に、経済的価値を創造しています.

この書籍、および動画共有サイトでの著者の公演やインタビューを通じて、著者の独自の理論が非常に興味深いと感じました.既存の法則や思考法を参考に彼の脳内に独自に編み出しているようです.
これらは、彼の経験則から導かれているところが、説得力を持たせているのだろうと思います.

彼の理論は多岐にわたるものの、基本となる二つの指針が存在します.

『サステナブル・キャピタリズム(持続可能な資本主義)』
構成要素と成る3つは、「文化」「経済」「社会貢献」.この3要素が関わり合って、持続的に回る形態を示している.
著者の作品に込められた意義を考慮すると、それは以下のような意味合いを持ちます.
 ・文化「アート作品を所有する」
 ・経済「作品の価値上昇への投資」
 ・社会貢献「スラム街を発展させる」

『長坂流の相対性理論』 ※作品名が”相対性理論”
縦軸は分析したい対象に柔軟に変動するが「好き/嫌い」「富/貧」「先進的/後進的」、横軸を「時間(未来/過去)」とした2次元の図面.ガーナに集まる負の大きな電子ゴミが、ある点を境に相対性理論が働くことで先進国でアートが高額で売れるというもの.先進国が忘れ去ったものを拾い上げて先進国で売ると、ガーナの電子ゴミが負のレバレッジが効いてありえない効果を生むところから発案したようだ.

多くの人が著者を、ガーナの電子ゴミを利用してアートを創作する人物として認識しているでしょう.電子機器のゴミを使っている独自性が評価されがちだが、画として見た際のそもそもの画力や構成力が高く、それぞれの画自体に込められた意味の深さが面白い.作品が多いからといって、適当に闇雲に作っておらず、

彼の衝動的とも取れる行動にも、道程では強力な協力者が現れている.ガーナ現地で献身的に働くオラクル、ガスマスクを提供した3M、師匠.傍から見れば、無謀とも取れる壮大さでも、一端決めた熱量に賛同する人が多いことがわかる.わたしは彼に会ったことがないためわからないが、ここまでの壮大さと無謀さ、でも彼だったらできるかもしれないという期待が、周囲を巻き込んで動かしているのかもしれない.

彼の壮大すぎる目標を少しでも助けたい.彼の活動を経由してアグボグブロシーを良くしようと思ったとき、直面するのは作品自体がそこまで安くないことかもしれない.彼の取り分は5%固定としており、電子ゴミ自体は価値がない.それらは割合として多い訳では無いが、法人での活動、電子ゴミを日本へ輸出して日本で製作する行程、芸術作品という作品の特性などが多くの制約や税金がかかるためのようだ.小さい作品を作製していろいろな方にも買えるようにしているが、それでも1作品20万円程度から.ここからわかる通り、やろうとしていることのハードルの高さと現代資本の壁の高さが伺える.

Impressive reviews from other watchers

Positive

 読んでいて、失敗を重ねながらも何か大きな夢のために海外に出たりしてあがいていた、大学のアクティブな先輩たちを見ていたことを思い出した。何か懐かしい気分だ。やってることのクリエイティビティの高さと倫理的秀逸さからいって安直に比べることもできないことかもしれないが。取り組みとビジョンが凄すぎて圧倒されてしまった。素晴らしいとしか言いようがない。

 ここまでのアクティブさと比べると自分はただの普通の人間だということを改めて思い知らざるをえないが、それでもここに記されている感情に深く共感する。自分も海外で打ちひしがれた思いを持っていたから。何となく、自分と構想の作り方の発想も似ている部分もあるかもしない。

 自分にもさしあたってのプラットフォームづくりという目標はある。今まで書いたエッセイの英訳が先だし、流石に同じようには真似できないものの、なんとか時間をひねり出してそれに従事していきたい。

 そして、もう何かよくわからないが、やはり今は身の丈に合わない巨大なものに向き合い過ぎているよう思う。それに見あった情報を持ち合わせてもいないものに。精神面その他にも、色々危ういのでこの読書録はここで終わりにする。

 今考える限り最も正統で真っ当で実効的な世界への働きかけ方はプラットフォームづくりの成功だと思う。だから、もしもそれが成功したときには……

 いつか来るかどうか知れないその時まで、さよなら!

https://booklog.jp/users/epr002/archives/1/4296200216#comment

Negative

すごいとも思うし、頑張って欲しいとも思う。ただ、何か引っ掛かる読後感で、興奮はない。たぶんこの人の自伝を読んで「なるほど」で止まって、じゃあ私は何をするのかがふと湧いてこないからだろう。アートの力はわかる、が、私がアーティストになるわけではない。マゴさんの作品を買う?それは今までの資本主義に乗っかった消費だし、買えるお値段でもない。承認欲求ではないなら、この本は一体何なのだろう。たぶん再生紙か何かサステナブルな素材なのだろうけど、何かこの読書を自分は一時的に(≠サステナブル)消費した感覚だからかもしれない

帯長襷 from bookmeter.com
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