インターネットは、本来、目的意識を持って活用すれば極めて有用なツールです。
しかし、その利便性に甘えてしまうと、時間も集中力も、知らぬ間に消耗してしまいます。とくにYouTubeは、その最たる例です。
◉ YouTubeというプラットフォームの特徴
投稿者側にとってのメリットは、自己表現の場が無料で手に入る点です。初期投資がほとんど不要で、自分の考えやスキルを発信できます。
視聴者にとってのメリットは、基本的に無料で大量のコンテンツが楽しめることです。学びにも娯楽にも使えます。
プラットフォーマー(運営側)にとっての利点は、ユーザが自発的にコンテンツを供給してくれる仕組みが成立していることです。
しかし、その一方で、以下のようなデメリットも存在します。
投稿者側は、動画の制作に膨大な時間と手間がかかる割に、収益が見合わない場合も多いと聞きます。
プラットフォーマーにとっては、大量の動画を保存・配信するためのサーバー容量や通信インフラにコストがかかります。さらに、収益化のためには広告やスポンサーシップに依存せざるを得ない面もあります。
◉ 「自制できる人」と「自制できない人」の違い
YouTubeを含むオンラインサービスは、「自制できる人」が使えば極めて効率的ですが、「自制できない人」にとっては時間泥棒になってしまいます。
自制できる人は、明確な目的を持って視聴します。たとえば「この動画一本だけ見る」と決めて、それだけを見て終了します。
一方で、自制できない人は、サムネイルに惹かれて次々と動画をザッピングしてしまい、気づけば何時間も視聴してしまうのです。
この違いには、以下のような要素が見て取れます。
・時間対効果を意識して行動しているかどうか。
・目的意識を持って情報に接しているかどうか。
・自分に甘く、行動を自己管理できているかどうか。
・お金を使わず、無料コンテンツで「学んだ気」になって満足していないか。
・そして何より、「本や講義、資格勉強」と比べて、本当に学習効果があるかを冷静に見極めているかが問われます。
◉ わたしの体験から
私自身、YouTubeを使う中で痛感したのは、「AIや投資、ニュース(国内・海外)」といった分野の情報収集に非常に強いということです。とにかく情報の幅が広く、更新も速い。だからこそ、便利だと感じていました。
しかし一方で、サムネイルに目を引かれてしまい、知らないトピックまで無意識にクリックしてしまう。「これも勉強かも」と思いながら、実は目的から逸れていることが多かったのです。結果として、本来は投資について学ぶために動画を一つだけ見ようと思っていたのに、まったく違う動画を次々と見続けてしまっていました。
YouTubeは、「視聴をやめさせない」仕組みを極めて巧妙に設計しています。優れたUXデザインとレコメンド機能によって、ユーザを常に次の動画へと誘導する。つまり、視聴者はその術中にハマっているわけです。
◉ 自制心がすべて
オンラインコンテンツを有効活用する鍵は、自制心にあります。
目的を持ち、時間を決めて、必要なものだけを選んで見る。
自分に厳しく、無料コンテンツに甘えない。
その姿勢がなければ、どんなに優れたツールでも、時間を浪費するだけになってしまいます。
「ネットは使うべきもの」ではなく、「使いこなせる人だけが使うべきもの」である――この意識を持つことが、現代における情報リテラシーの第一歩だと思います。