「中国人が六麓荘で豪邸を爆買いしている」 そんなニュースが話題になっています。兵庫県芦屋市の六麓荘町といえば、関西屈指、いや日本屈指の高級住宅街です。
参考リンク https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2025/11/578807.php
「外国人に日本の土地を自由に買わせていいのか?」という不安の声は以前からありますが、実は世界を見渡すと、日本ほど「ノーガード」な国は珍しいという現実があります。
今回は、諸外国が導入している驚くほど厳しい「外国人規制」の事例と、今後日本がとるべき現実的な対策について整理します。
1. 世界はここまで厳しい|海外の規制事例
海外では、国防だけでなく「自国民の住まいを守る」「コミュニティを維持する」という観点から、外国人に対して懲罰的な課税や購入禁止に踏み切る国が増えています。
まさに「自国防衛」とも呼べる各国の措置を見てみましょう。
シンガポール|税金による事実上の拒絶 2023年4月から、外国人が住宅を買う場合の追加印紙税を**「60%」**に引き上げました。 例えば1億円の物件を買う場合、税金だけで6000万円が上乗せされます。これは事実上の「購入禁止」に近い経済制裁であり、投機マネーを完全に締め出す最強の措置です。
オーストラリア|中古住宅は「国民のもの」 2025年4月から、外国人は中古住宅の購入が禁止される予定です。(新築はOKですが、空き家のまま放置すると罰金対象)。 「外国人は新築を建てて供給を増やせ。既存の家(国民の資産)を奪うな」という非常に明確なメッセージです。
カナダ・ニュージーランド|原則購入禁止 カナダは住宅価格高騰への緊急措置として、ニュージーランドは富裕層による別荘買い占めを防ぐため、外国人による住宅購入を原則禁止しています。
2. 六麓荘町で起きていることの本質
では、日本はどうでしょうか。 今回の舞台となった六麓荘町には「芦屋市六麓荘町建築協定」という日本で最も厳しい独自ルールがあります。敷地は400平米以上、高さ制限、商店不可など、景観を守るための鉄壁の守りです。
しかし、これには限界があります。 あくまで「建て方・使い方」のルールであって、「誰が所有するか」を拒否する法的権限はないからです。
その結果、以下のような問題に対する有効な手立てがありません。
- ルール通りに建てるが、誰も住まずに「投機用の別荘」として放置される
- 町内会に入らず、コミュニティが希薄化する
現在の日本の法律では、こうした「所有者の属性」や「居住実態」に踏み込んだ規制ができないのが実情です。
3. 日本は「ノーガード」状態。導入すべき対策とは?
日本には戦前に作られた「外国人土地法」という法律(相互主義=相手国が日本人の購入を認めないなら、日本も認めない)がありますが、実質的には運用されておらず「ほぼ無防備(誰でも自由に買える)」という、先進国では異例の状態です。
憲法上の財産権や国際条約(GATS)のハードルはありますが、日本でも導入可能かつ効果的と思われる対策は以下の3つです。
① 課税によるハードル(シンガポール方式) 条約上「購入禁止」が難しくても、「税金」の設定は国の裁量です。これが最も現実的かつ効果的と考えられます。
- 非居住者への「不動産取得税」を30~50%に引き上げる
- 「空き家税」を外国籍所有者に重く課す これにより、実需(本当に住む人)以外の投機的な買い占めを激減させることができます。
② 「相互主義」の厳格運用 中国のように「日本人が中国の土地を買えない(借地権のみ)」国に対しては、日本側も「所有権は認めず、定期借地権のみ認める」とする方法です。これなら外交上の公平性が保たれます。
③ 地域のゾーニング強化(オーストラリア方式) 六麓荘のような特別なエリアに関しては、条例で「居住実態のない所有の禁止(別荘利用の制限)」を設けることです。 「買ってもいいが、年間〇〇日以上住まないと罰金または強制売却」というルールにすれば、単なる資産防衛目的の購入を防ぐことができます。
まとめ
今の日本不動産市場は、円安も相まって世界から見れば「バーゲンセール」かつ「誰でもウェルカム」な状態です。
全面的に外国人の購入を禁止することは経済への副作用もありますが、諸外国のように「シンガポール並みの重税」や「オーストラリア並みの中古購入制限」によって、国益と国民の住まいを守るフェーズに来ていると言えるでしょう。