居酒屋でよく見かける光景の一つに、「自分の経験こそ正しい」と語る人がいる。ある日、そんな場面に出くわした。
この話とは別に、わたしは高校時代からよく音楽を聴いているが、その頃から通貫して「イヤホンはやっぱりソニーが一番だよ。ずっと使ってるけど間違いない」と思っていた。しかしある時、ある違和感を抱いた。
1.
最近はイヤホンを、有線から無線へ変えている。その過程で、ソニーのBluetoothイヤホンを使っていたことがある。しかし、同じ価格帯で購入したEarFunという別メーカーのイヤホンの方が、明らかに音質も使い勝手も優れていた。ノイズキャンセリング性能、バッテリー持ち、接続の安定性など、どれを取ってもEarFunの方が満足度が高かったのだ。
2.
それ以来、「昔から使っているから」「信頼できるブランドだから」といった理由で製品を選ぶのはやめようと決めた。世の中には無数のメーカーが存在し、日々新しい技術やアイディアが登場している。あえて一つのブランドにこだわる必要はない。選択肢は広く持つべきだと学んだ。
3.
このとき痛感したのが、「過去の成功体験」に囚われることの危うさだ。イヤホンだけでなく、カメラなど他の製品でも「昔は良かった」という思い込みが新しい選択を妨げている場合が多い。実際、私も一時期カメラに関してソニー一択のように考えていたが、他社の製品を比較することで、より自分に合った選択ができることに気づいた。
4.
ここで大事なのは、「相手の成功体験にも、自分の成功体験にも、必要以上に引っ張られないこと」だ。相手の過去の成功体験に付き合う必要はない。なぜなら、その成功が今の自分や今の状況にとって有効とは限らないからだ。取捨選択は、あくまで自分の頭で考えて行うべきである。
5.
同時に、自分自身の過去の成功体験にもしがみつくべきではない。成功体験はあくまで過去の結果であり、時代や目的が変われば最適なやり方も変わる。その変化を敏感に捉えて、常に「今の自分にとってのベスト」を模索し続けるクセをつけたい。
6.
要は、過去の成功体験に回帰するのではなく、そこから得た教訓をどう活かすかが重要だ。「あの時こうしてうまくいった」という記憶に縛られるのではなく、「あのときうまくいった理由は何か?」と抽象化し、それを柔軟に応用する。そこに思考の価値がある。
つまり、過去の成功体験は必ずしも現在の正解ではない。常に新しい情報に耳を傾け、柔軟な視点を持つことが、より良い選択を可能にする。その学びを通じて、私は「選ぶ基準は過去ではなく、今」を意識するようになった。